ブロッコリースプラウトには、スルフォラファンという成分が入っている。そう言われます。ところが、芽の中を探しても、スルフォラファンそのものは見つかりません。入っているのは、その前の形と、それを切るための酵素。この2つが別々にしまってあって、噛んだときに初めて混ざり、スルフォラファンができます。だから、量の多い食材を選ぶより、酵素を働かせる食べ方をするほうが、結果が大きく変わります。加熱したものでは、中身の量は同じなのに、体に入る量が10分の1でした。はじめに、芽に何がどれだけ入っているのか。つづいて、それが体の中でどうなるのか。そこから、人に食べてもらった試験へ。あわせて8本を読みます。

ざっと言うと

  • 発芽3日目の芽は、育ったブロッコリーの10〜100倍のグルコラファニンを含んでいます。スルフォラファンの、ひとつ前の形です。
  • ブロッコリー200gを食べた8人では、体に入ったスルフォラファンが、生で37%、加熱で3.4%でした。
  • ミロシナーゼという酵素をマスタードの種で足した16人では、体に入る量が2倍になりました。
  • ピロリ菌に感染した48人が8週間食べた試験では、菌の量と胃の炎症の目印が下がりました。やめて2か月後には、元に戻っています。
  • 中国・啓東の291人では、ベンゼンの排泄が61%、アクロレインが23%増えました。
  • 健康な高齢者144人の試験では、処理の速さと作業記憶の成績が上がっています。
  • 2型糖尿病では、血糖が下がったという報告と、差が出なかったという報告の両方があります。

そもそもスルフォラファンとは

ブロッコリースプラウトは、ブロッコリーの種を発芽させた、数日の芽です。かいわれ大根に似た形で売られています。

この芽に、スルフォラファンが入っている。よくそう言われます。ただ、正確にはそうではありません。

芽の中に入っているのは、グルコラファニンという、ひとつ前の形です。そして別の場所に、ミロシナーゼという酵素が入っています。材料と包丁が、別々の引き出しにしまってある状態です。噛んだり刻んだりして細胞が壊れると、はじめて2つが混ざり、酵素が材料を切って、スルフォラファンができます。

では、その材料はどれだけ入っているのか。発芽して3日目の芽は、育ったブロッコリーの10〜100倍のグルコラファニンを含んでいました。しかも育った株に多いインドール系の成分が、芽にはほとんど含まれていません。少しの量で、大きな株と同じだけのものが摂れる、という形です。

つぎに、それが体にとって何なのか。ここが、この成分の変わっているところです。

スルフォラファンは、体の中を回って自分で何かを片づけるのではありません。体の側のスイッチを入れます。細胞の中にNrf2というたんぱく質があって、ふだんは押さえ込まれています。スルフォラファンが来ると、このNrf2が核へ移り、解毒と抗酸化に関わる遺伝子をまとめて立ち上げる。だから実際に働くのは、スルフォラファンそのものではなく、それによって作られた体の側の酵素です。

この見方を裏づける実験があります。ピロリ菌に感染させたマウスにブロッコリースプラウトを食べさせると、胃の炎症と萎縮が抑えられました。ところが、nrf2という遺伝子を消したマウスでは、その守りが見られませんでした。スイッチを外すと、働きも消えたことになります。

人ではどうか。この記事に並ぶ数字を、先に置いておきます。ピロリ菌に感染した48人が8週間食べると、菌の量と胃の炎症の目印が下がりました。大気汚染のある地域の291人では、ベンゼンの排泄が61%、アクロレインが23%増えています。健康な高齢者144人では、処理の速さと作業記憶の成績が上がりました。血糖については、下がったという報告と、差が出なかったという報告の両方があります。

最後に、いちばん意外なところを。

加熱すると、中に入っている材料の量は変わらないのに、体に入るスルフォラファンは大きく減ります。酵素のほうが熱で壊れるからです。ブロッコリー200gを食べた試験では、生で37%、加熱で3.4%。10分の1ほどになっていました。逆に、酵素を外から足してやると、体に入る量は2倍になります。

つまりこの成分は、「どれだけ入っているか」より「どう食べるか」で、体に届く量が変わります。この記事の前半は、そこの話です。

出典:Fahey JW, Zhang Y, Talalay P. Broccoli sprouts: an exceptionally rich source of inducers of enzymes that protect against chemical carcinogens. Proc Natl Acad Sci U S A. 1997;94(19):10367–10372. doi.org/10.1073/pnas.94.19.10367(芽と育った株の比較。研究費はアメリカ国立がん研究所 P01 CA44530 から。全文が無料で読めます) / Yanaka A ほか Dietary sulforaphane-rich broccoli sprouts reduce colonization and attenuate gastritis in Helicobacter pylori-infected mice and humans. Cancer Prev Res (Phila). 2009;2(4):353–360. doi.org/10.1158/1940-6207.CAPR-08-0192(nrf2を欠いたマウスでは守りが見られなかった、という実験)

成分を測った研究

発芽3日目の芽は、育った株の10〜100倍のグルコラファニンを含んでいた

まず、芽の中に何がどれだけ入っているのかです。ブロッコリースプラウトが注目されるようになった、出発点の1本になります。

  • 1997年・アメリカ
  • ブロッコリーとカリフラワーの芽
  • 発芽3日目
  • 成分の測定とラットの実験

アブラナ科の植物には、イソチオシアネートという成分の仲間が、その前の形(グルコシノレート)として蓄えられています。そのうちのひとつが、スルフォラファンです。この研究は、育った株と芽で、どれだけ量が違うのかを測りました。

発芽3日目の芽には、育った株の10〜100倍のグルコラファニンが入っていました。著者は「予想外に」と書いています。

もうひとつ、量以外の違いもありました。育った株には、インドール系のグルコシノレートが多く含まれます。この仲間は、分解された先の物質が、かえって腫瘍のできかたを後押ししうる、とされているものです。芽のほうには、それがほとんど含まれていませんでした。

同じ論文では、ラットの実験も行われています。発がん物質を投与したラットに芽の抽出物を与えると、乳腺の腫瘍ができた割合、できた数、進むはやさが、いずれも小さくなりました。

元の数字:発芽3日目の芽のグルコラファニン量は、対応する育った株の10〜100倍。測定は、グルコシノレートがミロシナーゼで分解されないよう、ジメチルスルホキシド・ジメチルホルムアミド・アセトニトリルを等量混ぜた溶媒で、マイナス50度で摩砕する方法。第2相解毒酵素とは、グルタチオントランスフェラーゼ、エポキシドヒドロラーゼ、NAD(P)H:キノン還元酵素、グルクロン酸転移酵素などを指します。研究費はアメリカ国立がん研究所(P01 CA44530)から。

この研究が調べていないこと

測ったのは芽に入っている量で、人が食べたあとに何が起きるかは、この研究の外になります。

腫瘍の実験はラットで、人での試験ではありません。

原文:Fahey JW, Zhang Y, Talalay P. Broccoli sprouts: an exceptionally rich source of inducers of enzymes that protect against chemical carcinogens. Proc Natl Acad Sci U S A. 1997;94(19):10367–10372.
doi.org/10.1073/pnas.94.19.10367(全文が無料で読めます)

くじ引き試験

ブロッコリー200gを生と加熱で。体に入った量は、37%と3.4%だった

つぎに、それが体の中でどうなるのかです。同じ量を食べても、届く量がこれだけ違う、という試験になります。

  • 男性8人
  • ブロッコリー200g
  • 生と加熱を入れかえて
  • 2008年・オランダ

男性8人が、砕いたブロッコリー200gを、温かい食事といっしょに食べます。生のときと、加熱したときの両方を、順番をくじ引きで決めて体験しました。ふだんの暮らしのなかで行われています。

そのあと、血と尿に出てくるスルフォラファンを測りました。体に入った割合は、生で37%、加熱で3.4%です。

入ってくる速さも違いました。血のなかでいちばん濃くなるまでの時間が、生では1.6時間、加熱では6時間。加熱したほうは、遅れて、少しずつ出てきます。

出ていく速さのほうは、同じでした。半分に減るまでの時間は、生で2.6時間、加熱で2.4時間です。

元の数字:生体利用率は生37%、加熱3.4%(p=0.002)。血中濃度が最高になるまでの時間は生1.6時間、加熱6時間(p=0.001)。排泄半減期は2.6時間と2.4時間(p=0.5)。無作為化した、盲検化なしのクロスオーバー試験です。

この研究が調べていないこと

男性8人の試験で、調べたのは育ったブロッコリーであって、芽ではありません。

体に入る量が多いことと、体に何かが起きることは、別の話になります。

原文:Vermeulen M ほか Bioavailability and kinetics of sulforaphane in humans after consumption of cooked versus raw broccoli. J Agric Food Chem. 2008;56(22):10505–10509.
doi.org/10.1021/jf801989e

くじ引き試験

酵素をマスタードの種で足した16人。体に入る量が2倍になった

では、壊れてしまった酵素を、外から足したらどうなるのか。ひとつ前の試験の裏返しにあたります。

  • 16人(女性9人・男性7人)
  • 1回だけ飲んで
  • 二重盲検・入れかえて
  • 2026年

参加した16人が、2つのものを順番に飲みます。ひとつは、ブロッコリーの種から取った抽出物(グルコラファニン入り)だけ。もうひとつは、そこにミロシナーゼを含むマスタードの種の粉を足したもの。どちらにもビタミンCが加えられています。本人にも、調べる人にも、どちらか分かりません。

尿に出てくる代謝物から計算すると、体に入った割合は、酵素を足したほうで39.8%、足さないほうで18.6%でした。2倍です。

最初の8時間だけで見ると、差はもっと開きます。25.4%と8.0%でした。

もうひとつ、腸内細菌の話も出てきます。ミロシナーゼと同じような働きをする菌が、腸にいます。1回飲んだだけでは便の菌の顔ぶれは変わりませんでしたが、グルコラファニンを変える働きを持つ4つの菌の遺伝子が、変換の進み方と結びついていました。

元の数字:生体利用率は、酵素を足した群39.8±3.1%、足さない群18.6±3.1%。最初の8時間の変換率は25.4±2.7%と8.0±2.7%。グルコラファニンを変換する4つの細菌遺伝子が、変換率と有意に相関(p<0.0155)。研究費は、アメリカ国立科学財団と食品農業研究所のほか、ブロッコリー由来のサプリメントを作っているBrassica Protection Products社からも出ています。

この研究が調べていないこと

1回飲んだだけの試験で、続けたときにどうなるかは調べていません。

使ったのは種の抽出物で、芽をそのまま食べた場合とは別のものです。

原文:Mastaloudis A ほか Exogenous myrosinase from mustard seed increases bioavailability of sulforaphane from a glucoraphanin-rich broccoli seed extract in a randomized clinical study. Sci Rep. 2026;16(1):9162.
doi.org/10.1038/s41598-026-39389-4(全文が無料で読めます)

くじ引き試験

ピロリ菌に感染した48人が8週間。菌の量と胃の炎症の目印が下がった

ここから、体に何が起きるかの試験です。日本の研究で、比べる相手にアルファルファもやしを使っています。

  • 48人
  • 1日70g・8週間
  • 比べた相手はアルファルファもやし
  • 2009年・日本

ピロリ菌に感染している48人を、くじ引きで2つに分けました。片方はブロッコリースプラウトを1日70g(スルフォラファンの前の形で420マイクロモル)。もう片方は、同じ重さのアルファルファもやしです。こちらにはスルフォラファンが含まれません。見た目の似た、別のもやしを比べる相手に使っています。

8週間のあと、尿素呼気試験の値と、便のなかのピロリ菌の抗原が下がりました。どちらも菌がどれだけいるかを表す指標です。血のペプシノゲンIとIIも下がりました。こちらは胃の炎症の目印になります。

ただし、続きがあります。食べるのをやめて2か月たつと、どの値も元の高さに戻っていました。

同じ論文には、マウスの実験も入っています。高い塩分の食事をさせてピロリ菌に感染させたマウスで、胃の菌の量が減り、炎症を起こす物質の発現が弱まり、塩分による胃の萎縮が起きませんでした。nrf2という遺伝子を消したマウスでは、この守りが見られていません。

元の数字:ブロッコリースプラウト70g/日(スルフォラファン前駆体420マイクロモル)を8週間。尿素呼気試験、便中ピロリ菌抗原、血清ペプシノゲンIとIIが低下。中止から2か月後に元の水準へ復帰。マウスはC57BL/6の雌、ピロリ菌シドニー株1、7.5%食塩の飼料。nrf2欠損マウスでは、この守りが見られませんでした。

この研究が調べていないこと

測ったのは菌の量と炎症の目印で、除菌できたかどうかや、胃がんが減るかどうかは調べていません。

48人の試験で、やめれば元に戻ることも示されています。

原文:Yanaka A ほか Dietary sulforaphane-rich broccoli sprouts reduce colonization and attenuate gastritis in Helicobacter pylori-infected mice and humans. Cancer Prev Res (Phila). 2009;2(4):353–360.
doi.org/10.1158/1940-6207.CAPR-08-0192

くじ引き試験

大気汚染のある地域の291人。ベンゼンの排泄が61%、アクロレインが23%増えた

箱で書いた「体の側のスイッチが入る」という話が、数字として見えている試験です。人数も、この分野ではいちばん多い部類になります。

  • 291人
  • 12週間
  • 中国・啓東
  • 2014年

参加したのは、長江の河口に近い中国・啓東の何河鎮で暮らす291人です。大気汚染物質にさらされる量が多い地域だ、と論文に書かれています。

くじ引きで2つに分かれ、片方はブロッコリースプラウトから作った飲みものを毎日飲みます。グルコラファニンが600マイクロモル、スルフォラファンが40マイクロモル。もう片方は偽の飲みものです。

調べたのは、汚染物質そのものではなく、それが体の中で処理されて尿に出てくる形(メルカプツール酸)の量でした。処理が進めば、出てくる量が増えます。

飲んだグループでは、ベンゼンから来たものが61%、アクロレインから来たものが23%多く出ていました。クロトンアルデヒドでは差が出ていません。

もうひとつ。ベンゼンの排泄量は、GSTT1という遺伝子を持っている人のほうが多くなっていました。どちらのグループに割り当てられたかとは関係なく、です。12週間飲み続けても、体に入る量は落ちませんでした。

元の数字:ベンゼンのグルタチオン抱合体の尿中排泄が61%増、アクロレインが23%増(いずれもp≤0.01)。クロトンアルデヒドでは差なし。飲みものはグルコラファニン600マイクロモル、スルフォラファン40マイクロモルを1日ぶんとして12週間。研究費はアメリカ国立環境衛生科学研究所(P01 ES006052、P30 ES003819)から。

この研究が調べていないこと

測ったのは処理されて出てきた量で、病気が減るかどうかは調べていません。

対象は、大気汚染にさらされる量が多い地域の人たちです。

原文:Egner PA ほか Rapid and sustainable detoxication of airborne pollutants by broccoli sprout beverage: results of a randomized clinical trial in China. Cancer Prev Res (Phila). 2014;7(8):813–823.
doi.org/10.1158/1940-6207.CAPR-14-0103

くじ引き試験

健康な高齢者144人。処理の速さと作業記憶の成績が上がった

日本の試験です。脳トレとの組み合わせも同時に調べていて、その分かれ方が面白いところになります。

  • 144人
  • 12週間
  • 二重盲検・4つのグループ
  • 2021年・日本

健康な高齢者144人を、くじ引きで4つに分けています。脳トレのゲームとスルフォラファン、脳トレと偽のサプリ、対照のゲームとスルフォラファン、対照のゲームと偽のサプリ。ゲームは1日15分、12週間続けました。脳トレには脳年齢を測るゲーム、対照にはテトリスを使っています。

脳トレをしたグループでは、処理の速さが上がりました。

スルフォラファンをとったグループでは、処理の速さに加えて、作業記憶の成績も上がっています。偽のサプリのグループでは、そうなっていません。

一方で、両方を組み合わせたグループでは、上乗せの変化が見られませんでした。

元の数字:144人を2×2の4群に割り付け、12週間。脳トレ群(2群)で処理速度が対照ゲーム群より改善。スルフォラファン群(2群)で処理速度と作業記憶が偽サプリ群より改善。組み合わせによる上乗せの根拠は得られず。研究費は日本学術振興会の科学研究費(15H05366、16KT0002、17H06046)と、東北大学との産学連携によるカゴメ株式会社から出ています。

この研究が調べていないこと

使ったのはサプリメントで、芽をそのまま食べた場合を調べたものではありません。

12週間の試験で、成績が上がったことと、暮らしのなかで何か変わることは別の話になります。

原文:Nouchi R ほか Brain Training and Sulforaphane Intake Interventions Separately Improve Cognitive Performance in Healthy Older Adults, Whereas a Combination of These Interventions Does Not Have More Beneficial Effects. Nutrients. 2021;13(2):352.
doi.org/10.3390/nu13020352(全文が無料で読めます)

くじ引き試験

2型糖尿病の人に濃縮した抽出物。空腹時血糖とHbA1cが下がった

この成分にたどりついた道すじが、少し変わっています。食べものから探したのではなく、遺伝子の並びから逆に探し当てたものです。

  • 肥満をともなう2型糖尿病の人
  • 濃縮したブロッコリースプラウト抽出物
  • 2017年・スウェーデン
  • 動物と細胞の実験つき

まず、2型糖尿病の人の肝臓で、どの遺伝子がどう動いているかをまとめました。次に、3,800の薬の遺伝子への影響を集めた資料と照らし合わせ、その動き方を逆向きに戻しそうなものを探しています。そこで浮かび上がったのが、スルフォラファンでした。

細胞の実験では、肝臓の細胞が糖を作り出す働きが抑えられました。NRF2が核へ移り、糖を作る主要な酵素の発現が下がっています。

糖尿病の動物では、肝臓の遺伝子の動きが元の向きに戻り、行きすぎた糖の産生と、糖の処理の悪さが和らぎました。その大きさは、メトホルミンという薬と同じくらいだった、と書かれています。

最後に人です。血糖のコントロールがうまくいっていない、肥満をともなう2型糖尿病の人に、濃縮したブロッコリースプラウト抽出物を与えました。空腹時の血糖と、HbA1cが下がっています。

元の数字:肝臓の遺伝子発現から作った疾患の「署名」に対し、3,800の薬剤の署名を照合。細胞ではNRF2の核内移行と糖新生酵素の発現低下。糖尿病モデル動物では、過剰な糖産生と耐糖能異常がメトホルミンと同程度に改善。研究費はクヌート・アリス・ワレンベリ財団、ラグナル・セーデルベリ財団、ノボノルディスク財団、スコーネ地域ALF、ヒェルト財団、スウェーデン戦略研究財団、そしてスウェーデンの農業関連の企業グループ、ラントメンネンの研究財団から出ています。

この研究が調べていないこと

人で調べた部分は、この論文全体のなかでは最後の一区切りにあたります。

使ったのは濃縮した抽出物で、芽をそのまま食べた場合とは別のものです。

原文:Axelsson AS ほか Sulforaphane reduces hepatic glucose production and improves glucose control in patients with type 2 diabetes. Sci Transl Med. 2017;9(394):eaah4477.
doi.org/10.1126/scitranslmed.aah4477

くじ引き試験

腎臓の働きが落ちた2型糖尿病の99人。血糖にもHbA1cにも差が出なかった

ひとつ前と同じ血糖を、条件を変えてもう一度調べたものです。この記事のなかで、いちばん人数の多い試験になります。

  • 99人が参加・91人が完了
  • 12週間+その後8週間
  • 二重盲検・偽薬あり
  • 2026年・スウェーデン

参加したのは、2型糖尿病があり、慢性腎臓病のステージ3bから4にあたる人です。平均年齢は74歳、69%が男性でした。複数の施設で行われています。

くじ引きで2つに分かれ、片方はブロッコリースプラウトの抽出物を、量を少しずつ増やしながら12週間。もう片方は偽薬です。そのあと8週間は、どちらも何もしません。本人にも、調べる人にも、どちらか分かりません。

13週の時点でも、21週の時点でも、空腹時の血糖、インスリン、HbA1cのいずれにも、2つのグループのあいだに差はありませんでした。

決められたとおりに続けられた人だけにしぼって計算し直しても、同じでした。

元の数字:99人が組み入れられ、91人が完了。平均年齢74±7歳、69%が男性、平均の推算糸球体濾過量は28±7 mL/分/1.73平方メートル。抽出物は1日最大150マイクロモルまで漸増し、12週間。intention-to-treat解析でもper protocol解析でも、空腹時血糖・インスリン・HbA1cに群間差なし。

この研究が調べていないこと

対象は腎臓の働きが落ちた高齢の人たちで、そうでない人に同じことが言えるかは分かりません。

差が出なかったことと、変化が起きないと確かめられたことは、別のことになります。

原文:Avesani CM ほか Broccoli Sprout Extract for Glycemic Management in Patients with Chronic Kidney Disease and Type 2 Diabetes: A Randomized Double-Blind Placebo-Controlled Trial. J Ren Nutr. 2026(オンライン先行).
doi.org/10.1053/j.jrn.2026.08.009

この記事に入れなかったもの

読んだけれど、今回は入れなかったものです。差が出なかった研究も、ここに置いておきます。

ブロッコリー200gを、生と蒸したもので比べた12人の試験。尿に出てきた量が、生で32.3%、蒸したもので10.2%と、3倍ほどの差でした。本文の2本目と同じことを調べているため、外しました(Nutr Cancer 2000;38(2):168–178、doi)。

同じ中国・啓東で、量を変えて行った試験。飲む量が増えるほどベンゼンの排泄が増える、という形が示されています。本文の5本目と重なるため、外しました(Am J Clin Nutr 2019;110(3):675–684、doi)。

自閉スペクトラム症にスルフォラファンを使った試験を集めた解析がいくつかあります。特定の状態のある人が対象で、日々の食べものの話とは枠が違うため、別の記事の材料にします(EXCLI J 2025;24:542–557、doi)。

2型糖尿病の人で、運動とブロッコリーの補給を組み合わせた試験。組み合わせているため、どちらの働きかは分けられません(Nutrients 2025;17(17):2735、doi)。

試す前に

試してみたいものが見つかった場合は、現在かかっている医師に確認してください。服用中の薬との相互作用や体調については、その医師が最も正確に判断できます。